幼稚園の頃に、ある検査があり、私の人生に大きな影響を与えました。
その当時は、色弱、色盲検査と呼ばれていたと思います。私の場合、赤と緑の判別がつきにくい等の「色弱」でした。
当時、親や先生から言われたのは、お医者さんや化学系の職業にはつけないということでした。
一番困ったのは、自分の進路を考える中学、高校生の時に、理系コースに行くか、文系コースを選択するかでした。
色弱・色盲とは
色覚とは
色覚とは、可視光線(白い光)の各波長にによって起こる感覚をいいます。テレビのやスマホの液晶モニターは小さなドットで構成されており、 光の三原色(赤・緑・青)それぞれのドットの光量が組み合わさって色が表現されています。目の 網膜にもこれと同様に長波長(赤)、中波長(緑)、短波長(青)付近の光を感じる3種類の細胞(錐体[すいたい])が存在し、色の波長を受け取ります。この錐体の情報が網膜から視神経を伝わって大脳皮質の視覚中枢に運ばれ、色覚が起こります。
先天的色覚異常の原因
先天的色覚異常には、遺伝による錐体視物質の異常でX連鎖性遺伝(伴性劣性遺伝)をし、日本では男性が20人に1人、女性は500人に1人の割合です。
問題となる錐体の種類によって種類がありますが、赤色と緑色が似て見える人を「赤緑色弱」、現在では、先天赤緑色覚異常というようです。非常に稀ですが、青色と黄色が似て見えるタイプの人もいるという。
先天赤緑色覚異常の色の見え方
先天赤緑色覚異常では隣り合った色などが見分けにくいことがあります。間違いやすさは色覚異常の種類や本人の自覚によって個人差があります。なお、世間ではときに弱視と間違われることがありますが、先天色覚異常では視力は正常に保たれています。
先天色覚異常の検査
色覚テストとして最も普及しているのが、以下の石原式色覚検査です。本来は印刷された検査用冊子を使うのですが、Web上では色調が異なるため、正確には検査できませんが、どんなものかというのは、下記でわかります。
正常な色覚では、それぞれに書かれた数字が、
に見えるのですが、異常がある場合には、
先天性色覚異常の原因について
人間の性を決定する性染色体には、X、Yの二つがあり、男性はXY、女性はXXの組合せです。色覚異常の遺伝子はX染色体にあり、劣性遺伝するので、男性の場合はその染色体に色覚異常の遺伝子があれば色覚異常を発病します。
女性の場合はX染色体が2個あるので、その両方に色覚異常の遺伝子がある場合に色覚異常となります。1個のX染色体にのみ遺伝子がある場合に発病はしません。
このように、遺伝形式で発症する病気のために、先天色覚異常に対して現在有効な治療法といったものはありません。
進路や職業への選択
大学への入学制限
以前は多くの大学が入学制限を課していました。中には、医師免許の取得には、昔から色覚による制限がなかったにもかかわらず、入学者選考時に色覚制限を課す大学がかなり多く存在しました。しかし、1993年以降、ほぼすべての国立大学で色覚による制限はなくなり、私立大学もそれに準じています。
会社への就職制限
雇い入れ時健康診断における色覚検査は廃止されましたが、これは雇用者が任意に検査を実施することを禁ずるものではなく、企業によっては制限を課しているところもあるようです。
検査
2003年以降、学校健診での色覚検査は廃止され、希望者のみの検査になったそうです。理由は、色覚検査が差別を生むからだというのです。
しかし、このため自覚しないまま成長し、進路を選ぶ段階になってから、自衛官や消防士など色覚に関して採用制限がある職業を選べない現実に直面するという事例が徐々に表面化してきており、早期発見の必要性が指摘されています。
小学校では平成28年度から児童生徒に「色覚希望調査票」を配布し、希望者に色覚検査を実施することになりました。
色覚異常の社会の受入れ
ずいぶん以前は、社会生活の上での色覚異常については「理系の仕事はできない」「運転免許が取得できない」などがありました。
現在は、日常生活を不自由なく送れると広く認知され、普通免許も取得が可能です。しかし、微妙な色の違いや色彩感覚を必要とする職種では就業できないケースもあり、運輸関係や人命に関する職種などは色覚異常による制限が多いのが実情ですが、社会認知の広がりによって以前と比べて職業選択もだいぶ緩和されるようになっているようです。
職業適性
細かい変更があることが多いため、あくまでも目安であり、職業適性についてはその都度確認する必要があります。
色覚による制限がある職種 | 航空機乗務員、航空管制官、海技士(航海)、小型船舶操縦士、機関部船員、海上保安官、海上保安官(航空)、 動力車操縦者、警察官、皇宮護衛官、入国警備官、 自衛官(航空以外)、自衛官(航空)、消防官 |
困りごと(個人差があります)
先天色覚異常の場合、色の見え方が変化することはないので、一般の病気の治療のように、定期的に検査を受ける必要はありません。
日常で
- 緑の木々の中の紅葉がわからない
- 熟れたトマトとまだ緑のトマトを区別できない
- 1灯式の信号が赤の点滅か黄色の点滅かわかりづらい
- 充電完了ランプの色の変化がわからない
- 桜の花はピンクではなく白だと思っていた
- 色で区別されているコードの接続に苦労する
- LEDタイプの信号の赤と緑
- トイレの開(緑)と閉(緑)のサイン
学校で
- 緑の黒板の赤い文字が読めない
- 強調のために赤で書かれた文字もほかの黒文字と同じに見える
- 仕切り線が入っていないと円グラフが読み取れない
- 描いた絵の色使いがおかしいと言われた
職場で
- コンピューター画面の色のみによる情報分類が難しい
- 注文と違う色の製品を納入してしまった
- 電鉄会社に就職後に色覚の異常がわかり配置転換になった
- 新鮮な食材と傷んだ物の区別がつかず、板前修行をあきらめた
まとめ
世の中に色弱の人は、意外とたくさんいます。職業の選択も、昔ほど制限がなくなりました。お医者さんでも、色弱の方はいるそうです。周りの意見に惑わされず、進路を決めることが大切です。
ご父兄の方は、子供の適性で、才能がありそうなお子様には、適性検査を受けるように進めることをお勧めします。
興味のある方には購入をオススメします。「石原氏学校用色覚異常検査表」などで検索してみてください。
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